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加水すると、急に表情が変わる。

ストレートで飲んだ最初の印象は「アルコールが先に立つな」だった。青梅のようなフレッシュな香りはある。でも山崎12年で感じた蜜の深みが出てこない。少し戸惑った。

ロックにした瞬間、違う顔になった。アルコール感が引いて、果実の甘みと和の香りが広がってくる。このボトルはロックで飲むのが正解だった。

山梨県北杜市・甲斐駒ケ岳の麓にある白州蒸留所のシングルモルト。「森の蒸留所」の清冽な水と空気が、同じ12年でも山崎とは対照的な方向性を作り出している。


テイスティング

香り(87) 青梅を思わせるフレッシュな香りが最初に来る。ミズナラを思わせる和の香りも混じり、白州NASよりは落ち着いた印象だ。ただアルコールと一緒に届くので、ストレートでは熟成のまろやかさが出にくい。

味わい(88) 和のテイストが重なってくる。梅、バニラ、微かな木の温もり。アルコール感はやや前に出るが、果実の甘みと複雑さはしっかりある。

余韻(86) 華やかさが続きながら、若干のスモーキーさを残してスッと消える。後口はクリーンで気持ちいい。


ロックで飲む

氷が一つ入ると、香りの入り口が変わる。アルコール感が引いて、果実の甘みと和の香りが前に出てくる。響で感じた華やかさに近い感覚が広がって、氷が溶けるにつれて表情がさらに変わっていく。

白州12年はストレートよりロックで評価が上がった珍しいボトルだった。普通は加水すると輪郭がぼやける。しかし白州12年は逆で、アルコール感が引いた分だけ果実感と和の香りが前に出てきた。

ストレートより、ロックで飲んだ方がずっと素直に味わえた。最初にストレートで戸惑ったのも、その理由だった。

ハイボールにすると、香りも味もかなり軽くなる。軽快には飲めるが、12年の個性はほぼ消える。白州12年の価格でハイボール専用にするのは、少しもったいない気がする。


白州NASと比べると

白州NASはグリーンでフレッシュな、青りんごのような香りが前面に出る。12年はそれより落ち着いていて、複雑さも増している。ただ、JWレッドからブラックラベルを飲んだときや、山崎NASから12年に上がったときのような「あ、全然違う」という感動は、正直それほどなかった。NASからの飛躍を期待して手を出すと、少し肩透かしを食うかもしれない。ロックで化けることで評価が上がるボトルではあるが、86点はその正直な着地点だ。


こんな人におすすめ

あなたのタイプ 選ぶなら
ロックで飲む習慣がある ◎(このボトルの正解はロック)
山崎12年を飲んでシングルモルトにハマった ◎(対照的な個性が楽しめる)
白州NASを飲んで「次」を探している ◎(12年の深みが加わる)
ハイボール派 △(個性が薄まりすぎる)

次に飲むなら

山崎12年との違いを確かめたいなら → 山崎 12年へ。蜜と果実、同じ熟成年数でこれほど変わるかという体験ができる。

ロックで飲むジャパニーズをもっと探したいなら → 響 ジャパニーズハーモニーへ。ブレンデッドで、ロックで化ける共通の体験がある。

スコッチのシングルモルトと比べたいなら → グレンフィディック 12年へ。同じ12年でジャパニーズとスコッチの違いが一口でわかる。