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梅と蜜が、静かに重なる。
山崎12年は、1923年創業の日本最古のモルトウィスキー蒸留所・サントリー山崎が送り出す看板ボトルだ。世界的なコンペティションで受賞を重ね、「世界最高のシングルモルト」と評された年もある。定価¥17,600だが流通量の少なさから市場では¥20,000を大きく超えることも珍しくない。グラスに注いだとき、梅のような果実感とバニラの甘みが静かに広がる。飲んでみると、シェリー樽由来の甘みが想像より直球に来る。その素直さが、山崎12年が長く愛される理由だと納得した。
山崎蒸留所について
山崎蒸留所は大阪府島本町、京都との府境に位置する。天王山の麓で桂川・宇治川・木津川の三川が合流するこの地は霧が多く、ウィスキーの熟成に理想的な環境だ。ミズナラ(水楢)・シェリー・バーボンと多様な樽を使い分け、複雑な味わいを生み出している。ミズナラ樽由来の和の香りは山崎を特徴付ける個性で、他の産地では代えが効かない。
香り
グラスに近づけると、梅のような酸味を帯びた果実感がすっと広がる。水楢樽の影響か、他のシングルモルトでは嗅ぎ慣れない和の香りが奥に潜む。バニラのような柔らかい甘さも同居していて、甘みと果実感が重なり合う複雑な香りだ。
味・余韻
口に含むと、シェリー樽由来の甘みが最初にはっきりと来る。サントリーオールドで感じたシェリーの甘さと系譜は同じだが、12年の熟成を経て格段に洗練されている。ハチミツのような甘みと果実のフルーティさが後から重なってくる。余韻は和のテイストが鼻から抜けていく独特の心地よさがあるが、若干のアルコール感が残るのが惜しい。
飲み方別
ストレート シェリーの甘みと果実感が最もダイレクトに感じられる。余韻のアルコール感が少し気になるが、全体のバランスはいい。まずはストレートで本来の姿を確かめたい。
ロック 氷を加えると果実感・華やかさが前面に出てくる。ストレートより表情が明るくなる印象で、甘みが華やかな方向に開く。余韻のアルコール感はやや強まるが、口の中にさっぱりとしたフルーティさが残って心地いい。
ハイボール 価格的には贅沢だが、果実感と木の甘みが軽やかに広がる。山崎らしい和の香りが最も飲みやすく出る飲み方かもしれない。「もったいない」で躊躇う気持ちはわかるが、一度試す価値はある。
他ボトルとの比較
まとめ
定価で入手できるなら、日本のシングルモルトとして最初に体験すべき一本だ。シェリー・ミズナラ・バーボン樽が生む和の甘みは、輸入ウィスキーでは代えが効かない個性を持つ。ウィスキーの深みにはまりたい人に、迷わず勧められる。




