香りだけで、一杯目が終わる。

響 BLOSSOM HARMONY 2026は、サントリーが年に一度だけ出す桜樽後熟の限定エディションだ。通常の響と同じく山崎・白州・知多の原酒をブレンドし、仕上げに桜の木の樽で追加熟成させている。毎年発売と同時に店頭から消える人気シリーズで、定価で見つけたら迷わず確保していい一本。グラスに注いだ瞬間、ウィスキーの常識から少し外れた華やかさが立ち上ってくる。ジンにも負けないボタニカルな香り——ウィスキーでこの表現を使う日が来るとは思わなかった。

なお、このボトルには点数を付けていない。ジョニーウォーカー ブルーラベルと同じで、他のボトルと同じ物差しで比較するタイプのウィスキーではないからだ。

テイスティング

香り 主役はここ。花や草を思わせるボタニカルな華やかさが最初に来て、若干のアルコール感を伴いながらも、ジンと張り合えるほどの広がりを見せる。桜樽由来なのか、どこか和の雰囲気をまとった甘い香り。

味わい 正直、言葉にするのが難しい。香りの華やかさに気を取られて、味の輪郭を掴む前に一口が終わってしまう。それくらい香りが主導する設計で、味は「香りの続き」として静かに流れていく印象だ。

余韻 じんわりと麦の甘みが残る。派手さはないが、ボタニカルな香りの後に来る素朴な甘さの対比が心地よい。

飲み方別

ストレート このボトルのベストはこれ。ボタニカルな香りを損なわずに楽しめる唯一の飲み方と言っていい。香りを楽しむボトルだと考えると、まずはストレートから。

ロック 響 ジャパニーズハーモニーはロックで化けたが、このボトルは逆だった。ストレートで感じたさまざまな香りが薄くなり、酸味と、白州12年で感じたようなフルーティさが前面に出てくる。これはこれで美味いが、別のボトルになる。

ハイボール ロック同様、熟れた果実感が強く出てくる。華やかさは残るので失敗はしないが、香りの複雑さは半減する。

他ボトルとの比較

通常の響が「完成された調和」なら、ブロッサムハーモニーは「香りに振り切った変化球」。同じ響の名を冠していても、楽しみ方がまったく違う。

こんな人に向いている

あなたのタイプ 選ぶなら
香りでウィスキーを楽しみたい
限定ボトルの体験を逃したくない
ロックやハイボールでゆっくり飲みたい ○(別の顔になる)
ガツンとした味の主張が欲しい

味より香り。グラスに鼻を近づけた瞬間がこのボトルのハイライトだ。年に一度の桜樽、見かけたら「体験」として一本確保する価値がある。