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「炭火を、グラスに注いだ。」
余市シングルモルトは、ニッカウイスキーの創業者・竹鶴政孝が北海道余市町に建てた第一蒸留所のシングルモルトだ。石炭直火という伝統的製法にこだわり続け、スコットランドのヘビーピーテッドに匹敵するスモーキーさを持つ。「ジャパニーズなのに、なぜここまでスモーキーなのか」という驚きが一口目からある。同じニッカの宮城峡が花と果実の世界なら、余市はその対極──煙と潮の、荒々しい北海道の世界だ。
余市蒸留所について
余市蒸留所は1934年、竹鶴政孝がスコットランドの気候に似た北海道余市町を選んで建てた、ニッカウイスキー発祥の地だ。日本海に面した立地が原酒に潮の塩気をもたらし、石炭直火蒸留が他にない煙感を生む。この二つが組み合わさったのが余市の個性で、スコットランドへの敬意と北海道の風土が一本のボトルに詰まっている。
香り
グラスを鼻に近づけると、炭火焼きの香りがまず来る。少し高級な焼肉屋のグリルや夏のBBQを連想させる、具体的で力強い煙の匂い。アルコールの刺激よりも煙が先行し、その奥にかすかなフルーティさが見え隠れする。「炭火感」の解像度がここまで高いボトルはジャパニーズでは珍しい。
味・余韻
口に含むと、アルコールの温かみにスモーキーさが乗ってくる。ジョニーウォーカー ブラックラベルやダブルブラックよりも煙感は明確に強いが、アイラモルトほど突き抜けた個性はない。煙の中にフルーティな甘みが混在していて、複雑さがある。
余韻はアードベッグで感じたような潮と煙が長く続く。飲み込んだ後も北海道の海沿いの空気が鼻に残る感覚。
ストレートで飲む
余市の個性を最大限に体感できる飲み方。炭火の香りとフルーティさの共存がはっきりわかる。スモーキーに慣れていない人は少量から試すのがおすすめ。慣れたスモーキー好きなら、これ一択。
ハイボールで飲む
炭酸で割ると煙感が少し薄れ、潮気とフルーティさが顔を出す。ただし主役はあくまで煙。ハイボールにしても余市らしさは失われず、鼻に抜ける潮気の余韻が心地よい。スモーキーなハイボールを試したい人の入門としても最適な一杯。
他ボトルとの比較
スモーキー系の中での余市の立ち位置:
まとめ
「スモーキーをちゃんと飲んでみたい」という人に、まず手に取ってほしい一本。アイラより入りやすく、ジョニー系より本格的。価格は7,700円とプレミアム帯だが、この余韻の長さなら納得できる。ジャパニーズの中で最もスコットランドに近い荒々しさを持つ。




